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2017.12.26

12月24日 増田神社での総舞ご報告

12月24日、伊勢大神楽の本拠地である三重県桑名市太夫 増田神社にて、本年も伊勢大神楽講社 全5社中による総舞が奉納されました。


△増田神社では、例年12月23日に例大祭“神講”を執り行い、24日に総舞奉納を行っています。24日の総舞は大神楽師達にとって一年で最後の神楽奉納であり、新年の回檀へ出向く準備を整えて執り行う“新年最初の神楽奉納”でもあります。翌25日には新年へ向け漆を塗り直した獅子頭を増田神社へ持ち寄り、新たな御魂を吹き込む“御魂入れ神事”を行います。御魂入れの祭儀は筆頭役員である山本源太夫・森本忠太夫・山本勘太夫・地元桑名『神館神社』宮司の4名によって執り行われています。

 

 


総舞の奉納に先だち本殿にて鈴の舞・剣の舞を奉納し、増田大明神に総舞の開始を御報告致します。

 

 


△鈴の舞(山本勘太夫社中)
鈴の舞は平成18年以来となる当社中による奉納となりました。勘太夫社中の鈴の舞は2014年より舞を新手に改良しており、本拠地桑名においては本年が初披露となりました。

 

 

 

 


△四方の舞・跳びの舞(石川源太夫社中/山本勘太夫社中)

 

 


△扇の舞(伊勢大神楽講社 紀州支部山城修社中)
扇の舞の奉納は昨年に続き紀州支部 山城修社中が務めました。山城修社中は東阿倉川系伊勢大神楽の石川源太夫流の流れを汲んでおり、扇野舞・神来舞など阿倉川流を色濃く残す舞手は他の社中と一線を画しています。例年1月には伊勢神宮隣の“おかげ横丁”を回檀します。

 

 

△綾採の曲(山本源太夫社中/山本勘太夫社中)
演目の前半部を山本源太夫社中・後半部は当社中が担いました。この度、選出となった“三本撥”は勘太夫社中の得意演目の一つで、先代勘太夫(哲夫)や指吸長春ら先輩大神楽師が長きに渡り担ってきた演目です。

 

 

 

 

 

 


△水の曲(山本勘太夫社中/森本忠太夫社中/石川源太夫社中)

前半部“半水”は当社中の松下雄陽が務めました。昨年の魁曲に続き二度目の選出です。

 

 

 


△水の曲“皿の曲”(山本勘太夫社中/山本源太夫社中)
より高度な技術が必要とされる水の曲後半部“皿の曲”です。戸板廻しは当社中家元 山本勘太夫が務めました。

 

 


△吉野舞(加藤菊太夫社中/山本源太夫社中)
壬申の乱の古事に因んだ吉野舞です。源太夫・菊太夫の両社中が合同で務めました。所作の美しさに定評があります。

 

 

 

 

 

 


△手毬の曲(山本勘太夫社中)
当社中の指吸長春が務めました。手毬の曲と言えば、旧家元であり戦後活躍した3代目伊藤森蔵の得意演目です。復活不可能と言われてた“霞毬”の至芸の数々を現代に復活させました。

 

 


△神来舞(森本忠太夫社中)

 

 


△献燈の曲(山本源太夫社中)
放下芸の花形“献燈の曲”です。

 

 

 

 


△毬獅子の曲(山本源太夫社中)

 

 

△剣三番叟(加藤菊太夫社中/山本源太夫社中)
いわゆる―放りモノ・立てモノなど放下芸における全ての技術が必要となる至難の芸の一つで、献燈の曲と同じく古来より社中の中心となる大神楽師により受け継がれてきました。

 

 

総舞の最後を飾る“魁曲”です。先発は2年ぶりに当社中の家元 山本勘太夫/指吸長春が務めました。

 

平成22年の復活芸である“差し上げ”・27年復活の“片手止め”です。

 

50年以上の廃絶を経て本年復活した“前掛かり”、平成24年復活の“かき上げ”です。

 

魁曲の華“一本立ち”

 


△魁曲(山本源太夫社中(杉浦・加藤)/源太夫社中(寺尾・斎藤)/山本勘太夫社中/加藤菊太夫社中)
昨年に続き4組による花魁道中です。また平成25年以来4年ぶりに加藤菊太夫社中から選出されるなど、世代交代を印象付ける奉納となりました。

 

 

事前の予報で悪天候が心配された本年の24日ですが、幸い天候に恵まれ、滞りなく総舞奉納を終える事ができました。本年の総舞は各社中において初選出となる若手も多く大変な収穫があったように感じます。

先代勘太夫の時代、平成初頭に放下師3名ほどで全ての放下芸を担っていた時代がありました。本年、増田神社の舞台を踏んだ放下師は実に10名です。中でも当社中は4名を輩出しており、近年の大神楽師一般募集や合宿制度など、当代の新たな試みが少しずつ形として実りつつある事を実感しております。

本年の奉納を、お越しの皆様方に暖かくお受け頂く事ができた事を運営者の一翼を担う者として安堵すると共に、この上ない喜びと感じております。この度、お集まり頂いた皆様方が素晴らしき新年をお迎え下さる事を、桑名の地よりお祈り申し上げます。

家元 山本勘太夫