12月24日 本年も伊勢大神楽の本拠地である三重県桑名市太夫『増田神社』において伊勢大神楽講社 全5社中による総舞が奉納されました。
△古来より前日23日には例大祭『神講』が執り行われております。本日も総舞の奉納に先だち本殿にて剣の舞を奉納し、増田大明神に総舞の開始を御報告致します。
△鈴の舞(石川源太夫社中/山本源太夫社中)
△四方の舞・跳びの舞(石川源太夫社中/山本源太夫社中)
△扇の舞(伊勢大神楽講社 紀州支部山城修社中)
本年の扇の舞は、尾鷲市にある『伊勢大神楽講社 紀州支部 山城修社中』が務めました。山城修社中は東阿倉川系伊勢大神楽の石川源太夫流の流れを汲む団体であり、伊勢大神楽講社として活動することが認められている唯一の支部です。山城修社中の神楽師達は回檀日数は少ないものの、正月には伊勢大神楽講社の代表として、伊勢神宮隣の『おかげ横丁』を回檀するなど、日々研鑽に努め、他の社中にも引けをとらない活躍を続けています。
△綾採の曲(山本源太夫社中/勘太夫社中)
演目の前半部を山本源太夫社中・後半部は当社中が担いました。当社中の演者は指吸長春・石崎雄一朗です。
△水の曲(森本忠太夫社中/石川源太夫社中/山本源太夫社中)
伊勢大神楽の魅力の一つは、道化師役と放下師との掛け合いにあります。水の曲は伊勢大神楽における放下芸の基礎であると同時に、放下師と道化師による古典的な掛け合いが演目における重要な要素となっています。
△水の曲【皿】(勘太夫社中/山本源太夫社中)
より高度な放下の技術が要求される水の曲の後半部『皿の曲』です。
△吉野舞(加藤菊太夫社中/勘太夫社中)
壬申の乱の古事に因んだ吉野舞です。
△手毬の曲(勘太夫社中)
手毬の曲の習得に励む大神楽師は、天高く放り上げた毬が額に静止するまで、幾万回と額を毬で突き上げ稽古に励みます。その為、伊勢大神楽の一団を迎え入れる家々では、最も額に傷が多い大神楽師を上座に迎え入れ敬意を表した―など、至難の放下芸と言われる手毬の曲には様々な逸話が遺っています。
△神来舞(山本源太夫社中)
伊勢大神楽において最も尊い演目と言われる『神来舞』です。本年の奉納では、放下師としてお馴染みの寺尾寛が舞手を担いました。
△献燈の曲(山本源太夫社中)
放下芸の花形『献燈の曲』です。近年の伊勢大神楽講社の流れに則り、長年披露される事の無かった複数の技が復活奉納され大きな盛り上がりをみせました。(演者:山本源太夫社中 杉浦康博)
△毬獅子の曲(森本忠太夫社中)
森本忠太夫社中の毬獅子の曲は、かつて毬獅子の曲を得意演目としていた故加藤孫太夫社中の流れを汲んでおり、獅子・翁役の掛け合いや緻密な所作に定評があります。
△剣三番叟(加藤菊太夫社中)
いわゆる―放りモノ・立てモノなど放下芸における全ての技術が必要となる至難の芸の一つで、献燈の曲と同じく古来より社中の中心となる大神楽師により受け継がれてきました。
総舞の最後を飾る『魁曲』です。先発の大役は山本源太夫社中が務めました。
2006年以来10年ぶりとなる3組による一本立ちを披露致しました。
当社中の大神楽師、松下雄陽は増田神社総舞において山本勘太夫以来8年ぶりとなる新弟子での魁曲選出です。
△魁曲(山本源太夫社中/勘太夫社中(指吸・松下)/勘太夫社中(勘太夫・石崎)/森本忠太夫社中)
増田神社総舞においては、史上初となる4組による花魁道中が実現するなど、伊勢大神楽講社の世代交代を象徴する記録尽くしの奉納となりました。
本年も天候に恵まれ、滞りなく総舞奉納を終える事ができました。本年の総舞は若い世代を中心に様々な意見を出し合い、例年以上に新たな試みを汲み入れた奉納となりました。
本年の奉納を、お越しの皆様方に暖かくお受け頂く事ができた事を運営者の一翼を担う者として安堵すると共に、この上ない喜びと感じております。この度、お集まり頂いた皆様方が、素晴らしき新年をお迎え下さる事を、桑名の地よりお祈り申し上げます。
家元 山本勘太夫