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2018.02.05

2月3日 建部大社での総舞ご報告

本年も2月3日、滋賀県大津市建部大社“節分祭”に際して総舞を奉納致しました。

建部大社は近江国一宮であり、旧社格は官幣大社にあたります。ヤマトタケルノミコト(日本武尊・倭武命)をご祭神として祀っており、武運来運の神として古より信仰を集めています。

 

 

総舞奉納の前には餅まきが行われ、たくさんの参拝客で境内が埋め尽くされました。

 

 

△第零演目“戸板廻し”

 

 

本年は節分祭が土曜日という事もあり、餅まきに時間を要し総舞奉納開始が30分近く遅れる事態となりました。

厳しい寒さの中、奉納開始を待ち続ける皆様に向け、当社中“番頭”の指吸長春が放下芸を披露致します。

餅まきに配慮し一切の囃子が無い中、静寂と歓声の中での奉納となりました。

本来は神様へ向けて行われる“神楽”を大神楽師が人へ向けて己が気持ちで舞う神楽を“一神楽(ひと神楽)”と呼びます。

大変珍しい、放下芸での“一神楽”となりました。

 

 

△鈴の舞

初の組み合わせとなる、勘太夫・松下雄陽・楠見晃の三名による鈴の舞です。古式の舞手を基に現勘太夫が平成二十七年に再構築した新手での披露です。

 

△四方の舞

 

 

△扇の舞

昨年秋より若手二名に引き継がれた扇の舞です。

 

 

△綾採の曲

 

 

△水の曲(半水)

 

“散水は清めの水 清めの水は四方八方に散り渡る”

△水の曲(突き上げ)

掛け合い萬歳が最も盛り上がる演目“突き上げ”です。

 

 

△水の曲(皿の曲)

 

 

△水の曲(皿の曲~鯛釣り~)

 

 

△吉野舞

社中最古参の大神楽師である山本明一が同演目を半世紀近くに渡り担って参りましたが、この度の奉納より若手に引き継がれました。益々の精進を続け今後磨き上げられていく演目の一つです。

 

 

△献燈の曲

伊勢大神楽の花形“献燈の曲”です。

 

 

△傘の曲

伊勢大神楽における古典萬歳の宝庫です。本年は三代前の道化師役“鳥居小太夫”の十八番ネタを復活披露致しました。

 

 

△神来舞(伊藤森蔵流)

近代最高の流派と称された阿倉川系“伊藤森蔵流”神来舞です。

昨年度をもって神来舞十二段全てを修めた実績が評価され、正式に伊藤森蔵流神来舞の継承者として四代目伊藤森蔵親方より認可を受けました。伝統の宗家源太夫流・北勢最古森本流・正調勘太夫流と合わせ実に4つの流派の神来舞を継承しています。

 

 

△劔三番叟

 

 

△魁曲(先発:指吸長春/石崎雄一朗 後発:勘太夫/松下雄陽)

本年は現勘太夫の襲名記念総舞以来となる二頭による魁曲披露となりました。高難易度の技を複数盛り込み、無事成功させた先発。未完ながら若手を登用し大役に挑んだ後発。実り多き奉納となりました。

 

△楽祓(らくはらい)

昨年より終了後に公表されるようになり、定番となった楽祓。

~足運ビ、総舞楽シミ厄ヲ祓ウ~

 

 

ご参集頂いた皆様に温かく見守られ、本年も無事に奉納を終える事ができました。

実に二時間に及ぶ長期の奉納でしたが、最後までお付き合い頂きました皆様に心よりの御礼を申し上げます。

永きに渡り続けられてきた近江国一宮での近江一ノ総舞。

歴史は語り継ぐ者がいてはじめて形を成すものである。改めて、実感致しております。

本年建部大社にてお出逢いしました皆様と、また来年もお出逢いしたく思います。

 

家元 山本勘太夫