本年も2月3日、滋賀県大津市建部大社“節分祭”にて総舞を奉納させて頂きました。
建部大社はヤマトタケルノミコト(日本武尊・倭武命)をご祭神としてお祀りする近江国一宮であり、武運来運の神として古より信仰を集めてきました。
近年は総舞奉納に先だって境内で豆まき神事が行われており、正午を過ぎる頃にはたくさんの参拝客が境内を埋め尽くします。
境内に総舞の開始を告げる“寄席太鼓”が鳴り響きます。
△鈴の舞(舞手:山本勘太夫)
神事における禊祓いの意を持つ鈴の舞です。
△四方の舞(舞手:山本勘太夫)
△扇の舞(舞手:指吸長春)
総舞で最も人気のある舞の一つである扇の舞です。猿田彦より扇を授けられた獅子が狂喜乱舞する様が見どころです。
△綾採の曲(放下師:松下雄陽/道化師:石崎雄一朗)
△水の曲“長水”(放下師:指吸長春/道化師:石崎雄一朗)
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皿の曲の途中、“三本槍”と呼ばれる放下芸の古典技を初披露致しました。三叉槍を模した長竿を額で受け止める古式の放下芸で35年以上に渡り継承が途絶えていました。
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△水の曲“皿の曲・鯛釣り”(放下師:指吸長春/道化師:石崎雄一朗)
△傘の曲“扇毬”(放下師:山本勘太夫・道化師:石崎雄一朗)
傘の曲の前半部である扇毬です。演目の9割が萬歳(漫才)で構成される非常に珍しい演目で、昭和中期までは若手放下師の話芸・放下芸の鍛練を目的として頻繁に奉納されていた演目です。
△傘の曲(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)
△献燈の曲(放下師:松下雄陽/道化師:石崎雄一朗)
伊勢大神楽における放下芸の華“献燈の曲”です。百年以上の歴史を持つ建部大社総舞において平成最後の献燈の曲を務めたのは若手放下師の松下雄陽です。先人達が築き上げた技・文化を受け継ぎ新たな時代においても絶やさず磨き続けるには未来を担う若い力が必要です。
△神来舞“南勢 伊藤森蔵流”
近代最高の流派と称された“伊藤森蔵流”神来舞です。
先代勘太夫が得意演目とし、建部大社総舞においても永らく奉納されてきました山本勘太夫家の劔三番叟です。
△劔三番叟(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)
△魁曲(先発:指吸長春/石崎雄一朗 後発:山本勘太夫/松下雄陽)
平成最後の建部大社総舞を締め括るのは、やはり花魁道中です。昨年の奉納に引き続き本年も二頭による魁曲を披露致しました。
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総舞終了後のお楽しみとして定着した楽祓(大神楽が回って来ない地域の方々への神札授与)や総舞記念品の授与、そして頭噛みの御祓いに長蛇の列ができます。
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平成31年目、時代の最後を締めくくる総舞となりましたが、皆さまの温かきご声援を受け無事に奉納を終える事ができました。
途中小雨が降る中での奉納でしたが、最後までお付き合い頂きました皆様方に心よりの御礼を申し上げます。
お集まり頂きました皆様方が身健やかに新たな時代をお迎えされます事を、社中一同ご祈念致しております。
家元 山本勘太夫