本年で奉納復活7年目を迎える波太神社総舞ですが、予定の25日・延期日26日共に荒天となった為、総舞奉納は中止とし神楽殿での神楽奉納となりました。
本年の総舞のテーマは”疫病蔓延下で実施可能な最小単位の祭事”であり、奉納時間は例年の110分ではなく45分に制限して実施されました。
神楽奉納に先立って、総舞奉告祭・御神前での神楽奉納(鈴の舞)を執り行います。
△劔の舞(舞手:山本勘太夫)
△四方の舞(舞手:山本勘太夫)
△水の曲”半水”(放下師:指吸長春/道化師:石崎雄一朗)
本年は、疫病退散祈願の特別神楽として、三十年以上に渡り奉納が一般公開されていない神来舞拾弐段を奉納致しました。
壱
弐
参
四
伍
六
七
八
九
十
拾壱
拾弐
四方掛かり
△神来舞”南勢旧伊藤森蔵流拾弐段”(舞手:指吸長春/篠笛:山本勘太夫/拍子:石崎雄一朗)
一年の厄払いの為、三百六十五歩(拾弐段)の踏み足で構成された神来舞(しぐるま)です。伊勢大神楽の大神楽師達にとって最も尊い演目と信仰され長きに渡り研鑽されてきた神楽です。四方の舞・魁曲など長く庶民に愛された演目がある中で、神来舞(拾弐段)はここ一番という節目の大奉納で奉納されており、その多くは個人宅での御祓いや御神前での特別神楽など非公開の場で実践されてきました。現代では六段の二頭舞が主流となり、江戸~明治期に栄えた十二段の一頭舞は長らく公開されておりませんでしたが、疫病蔓延に歯止めを掛けるべく、約35年ぶりに公開奉納を行いました。
△献燈の曲(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)
△魁曲(先番:指吸長春・石崎雄一朗/)
魁曲は一演目の中に数々の独立した軽業が盛り込まれており、修得に長い時間を費やします。勘太夫社中は新型コロナウィルスの蔓延により活動休止を余儀なくされていた期間、疫病退散の祈りを込めて西日本各地のご祭神にこの“魁曲”を奉納するべく、ひたすらに磨き上げてきました。
本年は荒天の中での奉納となりましたが、疫病蔓延下でも無事に祭事を執り行うことができました。この夏の年中行事である波太神社総舞が復活する際「一度始めたからには、この先どのような事があっても我々は必ず祭事を続けていきましょう」と神社側と合意し互いに数百年続く祭事にしようと約束を致しておりました。奉納7年目を迎えた本年、大変な状況下ではありましたが、この様な状況下だからこそ、今必要な神事として役目を果たせたことに安堵致しております。
荒天の中ご参集下さいました皆様方、心より御礼を申し上げます。