本年も4月14日 三重県伊勢市”伊勢神宮(内宮)”参集殿能舞台にて奉納神楽を行いました。
神楽奉納に先だって、御垣内参りを行いました。
江戸時代、伊勢大神楽講社は神宮祭主より神道免許書を受け、地方に住まう皆さんの代理参拝人という重要な役割を担っていました。交通網の発達を受け、遠出も容易となった現代においても、変わらず守り続けている重要な神事です。
伊勢大神楽講社では現代でも春と秋の二度、伊勢神宮への代理参拝を行っておりますが全社中の大神楽師が一同に集うのは、この4月14日のみとなっております。
奉納の始まりを告げる寄席太鼓が参集殿の能舞台に響き渡ります。
劔の舞
舞手:石川源太夫社中
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四方の舞
舞手:石川源太夫社中/猿田彦役:長谷川大貴(山本勘太夫社中)
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扇の舞
舞手:山城修社中(一般社団法人伊勢大神楽講社協力団体)/加藤菊太(加藤菊太夫社中)
令和5年1月より加藤菊太夫社中の家元を襲名した加藤菊太が約10年ぶりに神宮にて扇の舞を披露しました。加藤菊太夫社中は若手大神楽師の育成団体である山本勘太夫率いる一般社団法人伊勢大神楽講社に合流して活動しています。※同様に山城修社中も南勢流伊勢大神楽の指南役として合流して活動しております。
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献燈の曲
演者:山本源太夫社中
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伊勢大神楽講社の宗家 山本源太夫社中が献燈の曲を務めました。
山本源太夫は伊勢大神楽講社の祭儀の中心を担い、伊勢大神楽の本拠地である増田神社は山本源太夫邸の敷地内に祀られています。450年以上に渡り祀り事の中心を担う山本源太夫、近代において重要文化財保全活動のため伝統技術継承や担い手育成の中核を担うのが山本勘太夫です。
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神来舞
舞手:森本忠太夫社中
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魁曲
演者:山本勘太夫社中(指吸長春・松下雄陽)/加藤菊太夫社中(加藤菊太・難波直樹)/森本忠太夫社中
伊勢大神楽の締めくくりと言えば、”女形の道中”の俗称で親しまれる『魁曲』です。江戸期のお伊勢参りの賑わいを表現した演目で、各社中の花形が登場する事でもお馴染みです。
山本勘太夫社中は本年をもって15年連続での魁曲選出となりました。
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本年も神宮にお集まり下さった皆様方、ありがとうございました。本年の奉納に際しては事前の問い合わせが大変に多く、大きな反響の中での実施となりました。
また、山本勘太夫社中においては昨年6月より一般社団法人を興し益々の文化財保全活動に邁進をしていく役割を期待される中での神宮への帰還であり、絶え間なく現代と向き合い続ける中でも時には原点に立ち帰り、改めて道を進んでいくのだと、わたしたち自身が一度、この文化財の在り方について見つめ直す良い奉納となったのではないかと感じております。
来年も皆様にお出逢いできる日を心待ちにしつつ。お越しの皆様方、地方の皆様方のご健康を引き続きお祈り致しております。
一般社団法人伊勢大神楽講社 代表理事 山本勘太夫