大阪府泉北郡忠岡町町制80周年記念事業に際し、かつて忠岡の文化の一端を担っていた伊勢大神楽講社を招聘頂きました。
『伊勢大神楽 清らかな獅子舞と放下の曲芸』と題されたこの度の催しは忠岡町ふれあいホールで実施されました。
同町への伊勢大神楽来訪は昭和後期より途絶えており、約40年ぶりの来訪となるこの機会に、公演前には町内の保育園へ足を運びます。
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園では忠岡町長 和田吉衛様より歓迎のご挨拶を頂戴いたしました。定刻を前に、一行は催事の会場である忠岡町ふれあいホールへと向かいます。
現在は伊勢大神楽の来訪が途絶えている忠岡町ですが、かつて大神楽の来訪を心待ちにしていた町民の皆様に多数ご来場頂き、会場は満員御礼となりました。
伊勢大神楽講社の公演に先だって、伊勢大神楽における音曲研究の第一人者である篠笛奏者 森田玲氏による芸能解説が行われました。
芸能解説の中では“回檀”の実演が行われ、江戸期 伊勢大神楽が神宮大麻を配り“お伊勢さんの代参”の役割を担うより古くから、竈祓い(かまどばらい)信仰が尊ばれ現代まで家々のお祓いが続けられている事が伝えられました。約40年もの間、回檀が途絶えていた同町にとっては、新しくも懐かしい回檀実演となりました。
伊勢大神楽~清らかな獅子舞と放下の曲芸~
△鈴の舞(舞手:山城修社中“加藤菊太夫社中所属 ” )
△扇の舞(舞手:山城修社中“加藤菊太夫社中所属” )
かつて忠岡町を訪れた旧伊藤森蔵社中と同じ“南勢流伊勢大神楽”を伝承する山城修社中です。
△綾採りの曲(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)
岡山備中を回檀中の勘太夫社中からは、家元を含む3名が忠岡のため帰阪して臨みました。40年ぶりとなる放下芸・道化に会場が大きく沸きます。
△水の曲“皿の曲”(放下師:山本勘太夫/道化師:石崎雄一朗)
△献燈の曲(放下師:寺尾寛“山本源太夫社中”/道化師役:石崎雄一朗)
勘太夫社中と同じく大阪南部を檀那場とする山本源太夫社中より放下師の寺尾寛が参加致しました。
△神来舞“北勢 山本源太夫流”(舞手:山城修社中“加藤菊太夫社中所属”)
山城修社中も勘太夫社中と同じく、北勢・南勢流双方の流派を伝承する社中であり、この度は伊勢大神楽講社を代表し宗家 山本源太夫流の神来舞を奉納致しました。
△魁曲(上乗り:指吸長春/台師:石崎雄一朗)
公演の締め括りとなる魁曲は山本勘太夫社中が担います。一本立ちや一反走りなど、技のひとつひとつに大きな拍手が送られました。
公演終了後には、和田町長・篠笛奏者 森田玲氏と共に家元 山本勘太夫が再び登壇しトークショーを行いました。かつて伊勢大神楽が忠岡の町へ訪れた際の和田町長の懐かしい思い出話や、家元が入門当時に感じた放下芸と神道の関係性など、話題は多岐に渡り大いに盛り上がりました。
最後は、獅子の頭噛みの御祓いで来場者の皆様方をお見送り致しました。
町制80周年という節目の年に伊勢大神楽講社招聘にご尽力下さいました関係者の皆様、また忠岡ふれあいホールにご来場頂いた皆様方、誠にありがとうございました。またお出逢いできる日を楽しみにしております。