11月~12月にかけ勘太夫社中は岡山県の旧備中国周辺を回檀しています。備中では、家々のお祓いである回檀に加え山上などに祭られる荒神社での神楽奉納が大変重要視されています。荒神社は氏神・土地・隣組など町ごとに多様な括りで祀られており、大神楽は年に一度荒神ごとに神楽奉納を執り行う役割を担っています。
△山間の漁村を行く(笠岡市大島にて)
早朝、日の出と共に回檀が始まります。山中に点在する集落を村から村へ歩く様は備中ならでは。回檀中には幾度となく荒神での神楽奉納と戸別の祈祷が繰り返され、海と山をそのつど往復します。平野を歩く他の時期とは別なる回檀風景が広がります。
△荒神の神楽奉納の様子(笠岡市大島にて)
隣国である旧備前国では町ごとの総舞奉納が一般的ですが、旧備中国では、より小さい共同体ごとの奉納が習わしとなっており、産土・先祖信仰が非常に強い地域と言えます。