11月13日 福井県大飯郡おおい町にて実施の『日本の伝統芸能を楽しむ会』に一般社団法人伊勢大神楽講社より山本勘太夫社中が出演致しました。
伊勢大神楽講社と、越前や若狭とのつながりは江戸期より始まっており、昭和~平成時代に途絶えた旧松井嘉太夫をはじめ数多くの伊勢大神楽の社中が福井県下にて活動してきました。
そしてこの度招聘を受けた山本勘太夫社中は、なんと福井県初登場。会場入り口には社中の一年を追った『旅する獅子』の特設展示のコーナーも設けられ、来場者の皆さまも熱心に見入っていました。
これまでの舞台出演と同じく、総舞披露に先だって舞台上で日ごろの回檀の様子を再現してみせます。
山本勘太夫社中では日に120軒~200軒以上(!)の家々を回り門付けで神楽を上げて回るのです。
ホール内に総舞の開始を告げる寄席太鼓が鳴り響き、いよいよ福井県で史上初となる山本勘太夫社中の総舞が行われます。
△剣の舞・四方の舞・扇の舞(舞手:松下雄陽 猿田彦:長谷川大貴)
△綾採りの曲“三本撥”(放下師:指吸長春/道化師:山本勘太夫)
本年10月より放下師から道化師に転向した山本勘太夫と放下師の指吸長春による綾採りの曲です。伊勢大神楽における道化師は本来、熟年の元放下師が引き受け、若き放下師の話芸を育てていく役割がありましたが、平成に入り専従化が進んだ事から、本来の役割とは別なる形で進化をみせていたのが平成の道化師でした。来季以降の若手入門者たちの育成を念頭に、育成役の道化師が伊勢大神楽に帰ってきました。
△水の曲“皿の曲”(放下師:指吸長春/道化師:山本勘太夫)
伊勢大神楽の放下芸において特に高い人気を誇る水の曲です。
かつて昭和後期まで若狭を回檀した松井嘉太夫も非常に得意としていた演目と伝わります。
今回は舞台公演という事もあり敢えて“ワレ物”の皿の曲を披露致しました。
△神来舞“正調 山本勘太夫流 五段”(舞手:山本勘太夫)
伊勢大神楽の担い手である大神楽師たちが古来より最も尊び守り伝えてきたのがこの神来舞です。福井県での初奉納という歴史的な公演を祝して、大変珍しい山本勘太夫による神来舞の一人舞を奉納致しました。
△献燈の曲(放下師:松下雄陽/道化師:山本勘太夫)
放下芸の花形演目である献燈の曲です。演じるのは2017年NHKBSプレミアム『疾走!神楽男子』の被写体となった松下雄陽です。
△劔三番叟(放下師:山本勘太夫)
家元もついに痺れを切らしたのでしょうか。
道化師役の役割を忘れ、放下師として日本古来よりの祝福舞である三番叟を踏みます。
福井県下初奉納に華を添えます。
△魁曲(上乗:指吸長春/台師:松下雄陽)
総舞の最後は魁曲で締めくくります。片足立ちの“一本立ち”や女型にお色直しを終えた獅子が伊勢音頭の唱和に合わせて道中する“花魁道中”など、江戸期のお伊勢参りの賑わいを表現した演目です。
最後は社中全員が登壇し改めてのご挨拶を行い全行程が終了です。
ロビーでは獅子による頭噛みのお祓い総舞みやげの物販スペースが設置され、終了後も賑わいを見せていました。
当日は悪天候にも関わらず多くの皆様にご来場頂きました。数十年ぶりに伊勢大神楽に出逢ったという方や、まったく初見の方、楽しみ方も色々だったかと思いますが、こちらにとっても思いで深い一日となりました。
旅から旅へ。
一日限りの福井県下での活動を終え、山本勘太夫社中は備中を巡る旅へと帰って行きます。
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今回の催事にご招待頂きました関係者の皆様、そしてご来場・お迎え頂きましたおおい町の皆様、改めてお出逢いに感謝致しております。また、お体に気を付けて実りある一年をお過ごしされますことを社中一同、備中は岡山の地よりお祈り致しております。
家元 山本勘太夫